大西 宇宙 おおにし たかおき

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欧米の歌劇場や音楽祭、コンサートホールで活躍を重ね注目を集める若きバリトン。最近の主な活躍に、セイジ・オザワ松本フェスティバル「エフゲニー・オネーギン」、兵庫県立芸術文化センター「ドン・ジョヴァンニ」、新国立劇場「愛の妙薬」、アメリカのヒューストン・グランド・オペラ「トゥーランドット」などのオペラ公演や、NHKニューイヤーオペラコンサートへの出演、NHK交響楽団「フィデリオ」、「第9番交響曲」、またバッハ・コレギウム・ジャパン「リナルド」、「メサイア」、「ジュリオ・チェーザレ」への出演などがある。

アメリカ三大歌劇場の1つにも数えられるシカゴ・リリック・オペラの所属歌手として活躍し、世界初演となるオペラ「Bel Canto」で、アメリカのプロ・デビューを飾った。同オペラでは準主役級の登場人物・神父アルゲダス役を演じ、各新聞社、海外クラシック雑誌から絶賛を得た。同公演はPBSにより全米にテレビ放映され、その後も歌劇場のメンバーとして、「ロミオとジュリエット」、「エフゲニー・オネーギン」、「カルメン」など計50以上の公演に出演し、また主要キャストのカヴァーなども歴任している。プラシド・ドミンゴ、ルネ・フレミング、フェルッチョ・フルラネット、アレッサンドロ・コルベッリなど多くの伝説的歌手達と舞台を共にした。その後、アメリカではヒューストン・グランド・オペラ、フィラデルフィア・オペラ、ノース・カロライナ・オペラと契約。「トゥーランドット」、「道化師」、「カルメン」といったオペラ出演で好評を博し続けている。

ヨーロッパでは、ウィーン交響楽団、ニュルンベルク交響楽団やミュンヘン放送交響楽団と共演。近年ウィーン楽友協会に於けるベートーヴェン第九ソロでデビューを飾ったほか、アスペン音楽祭やヴェルビエ音楽祭にも出演した。

武蔵野音楽大学及び大学院卒業。全日本学生音楽コンクール第一位およびイタリア声楽コンコルソ金賞・バリトン特賞を受賞後、IFACジュリアード音楽院声楽オーディションにて満場一致の最優秀賞を受賞し、ニューヨークのジュリアード音楽院の大学院に学ぶ。卒業時には在学中の活躍を讃えられ、多数の賞および特別奨学金を付与され、最優秀の成績で卒業。その他、イタリアのゲオルグ・ショルティ・アカデミー、ドイツのインターナショナル・マイスタージンガー・アカデミーおよびウィーン芸術大学でも研鑽を積んだ。

ジュリアード音楽院では「フィガロの結婚」「ドン・ジョヴァンニ」「エフゲニー・オネーギン」など多くのオペラの主要な役で本公演に抜擢されたほか、オラトリオのソリスト、ドイツ歌曲のリーダーアーベントなど様々な演奏会に参加。メトロポリタン歌劇場研修所とジュリアードの合同公演でもアラン・ギルバート指揮「コジ・ファン・トゥッテ」、ジェーン・グローヴァー指揮「アウリスのイフィゲニア」、またジェイムズ・レヴァイン指揮・指導のパトロン向けのガラ・コンサートといった多数の演目で活躍したほか、ジュリアード古楽アンサンブル・オーケストラとの「マタイ受難曲」イエス役で全米ツアーに参加した。また在学1年目から、全声楽専攻生による学内コンクールで優勝し、リンカーン・センターの名門ホール、アリス・タリーでリサイタル・デビューを飾った。

在学中にカーネギーホールの大ホールでオーケストラと共演しデビュー。ヴォーン・ウィリアムズのオラトリオと「カルミナ・ブラーナ」のバリトン・ソロで公演を成功に導いた。同ホールでは数多くの公演に携わっており、近年シベリウス「クレルヴォ交響曲」で好評を博したほか、2020年にはブラームス「ドイツ・レクイエム」批判校訂版世界初演のソリストで再招聘された。

ニューヨーク・タイムズやシカゴ・トリビューン、ドイツの音楽誌Opernwelt、またアメリカのクラシック誌Opera Newsにて、出演したオペラが取り上げられ様々な好評を得ている。Opera Newsでは個人特集インタビュー記事も掲載されたほか、「次世代期待のオペラ歌手15人」の1人として紹介された。WQXR.org(英語)。また、ジュリアード在学中の活躍が朝日新聞「ひと」や、Newsweek日本語版に掲載されている。

国内の様々なコンクールの他、アメリカ、ニューヨークの主要なコンクール(リチア・アルバネーゼ・プッチーニ国際コンクール、ジュリオ・ガーリ国際コンクール、オペラ・インデックス国際コンクール、ゲルダ・リスナー国際コンクール)の全てにおいて第1位および優勝。最近ではプレミエ財団国際声楽コンクールでは第1位ならびに≪ディミトリ・ホロストフスキー賞≫を授賞し話題になった。またモントリオール国際コンクール、ヴィオッティ国際コンクールのファイナルに進出し、それぞれモントリオール交響楽団、ジェノヴァのカルロ・フェリーチェ歌劇場管弦楽団と共演した。

日本ではNHK交響楽団を初めとし、各地の名オーケストラと共演。プレトニョフ指揮・ロシアナショナル交響楽団来日公演「イオランタ」ではロベルト公爵役を歌い、ロシア人歌手達と並び遜色ない歌唱を披露し話題になったほか、日本各地でのベートーヴェン第9番交響曲、飯森範親指揮「カルミナ・ブラーナ」、広上淳一指揮ブラームス「ドイツ・レクイエム」、高関健指揮「戦争レクイエム」などに出演。2019年のセイジ・オザワ松本フェスティバルでは「エフゲニー・オネーギン」の主役を日本人として初めて務め、サイトウ・キネン・フェスティバルから続く同音楽祭の歴史を塗り替えた。来日指揮者からの信頼も厚く、セバスティアン・ヴァイグレ指揮・読売日本交響楽団「ドイツ・レクイエム」、ガエタノ・デスピノーザ指揮・新国立劇場「愛の妙薬」、ピエタリ・インキネン指揮・日本フィルハーモニー交響楽団「第9番交響曲」に出演し、いずれも好評を得た。今後も国内外での活躍が期待される。

イタリア語、ロシア語、英語、ドイツ語、フランス語など多数の言語歌唱に精通し、数多くのレパートリーを持つ。

これまでに声楽を菊池英美、横山修司、マルチェッラ・レアーレ、ジュリア・フォークナー、故エレーナ・オブラスツォヴァの各氏に師事。レナータ・スコット、マリエッラ・デヴィーア、シェリル・ミルンズ、トーマス・アレン、トーマス・ハンプソン、リチャード・ボニング、ジェイムズ・レヴァインなどのマスタークラスでも歌ったほか、MET歌劇場の様々な歌手、コレペティトゥーア、言語コーチに師事した。

令和初年度 第30回 五島記念記念文化賞 オペラ新人賞、及び第30回 日本製鉄音楽賞 フレッシュアーティスト賞を受賞。